児童憲章ってなあに?

専門家にとっては知っていて当たり前の児童憲章ですが、一般的に親がこれをまじまじと

読む機会はまずないと思います。

児童憲章は1956年5月5日に制定された児童のための憲章です。

1947年にすべての児童の福祉の実現をめざすために児童福祉法が制定されましたが、第2次

世界大戦後の社会的・経済的に荒廃した状況の中で、戦災孤児や浮浪児対策を優先せざるを

えない状況でした。

そのため社会や国民一般の児童に対する責任を改めて明確にするため制定に至りました。

ジュネーブ宣言・世界人権宣言などを参考に1946年6月頃より厚生省及び中央児童福祉審議会

によって制定への準備が始まり最終的には内閣総理大臣が招集した児童憲章制定会議によって承認され1951年5月5日に宣言されました。

法律ではなく児童の福祉を図るための国民的約束(規範)であるため法的拘束力はありませんが、児童福祉や教育に対して施すべき対策を考える上で、今でも基本となる原則となっています。


われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。


児童は、人として尊ばれる。

児童は、社会の一員として重んぜられる。

児童は、良い環境の中で育てられる。


1.  すべての児童は、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。

2.  すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。

3.  すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害から守られる。

4.  すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果すように、みちびかれる。

5.  すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。

6.  すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整った教育の施設を用意される。

7.  すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。

8.  すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、また、児童としての生活がさまたげられないように十分に保護される。

9.  すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、わるい環境からまもられる。

10.  すべての児童は、虐待、酷使、放任その他不当な取扱からまもられる。

あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。

11.  すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不十分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。

12.  すべての児童は、愛とまことによって結ばれ、よい国民として人類と平和と文化に貢献するように、みちびかれる。


戦争孤児があふれる中で児童による犯罪が横行していた時がありました。

その中で子供の育ちを保証しなくてはならないという必然性があって作られたものです。

一人の人間が人間として保障されなければならないということが前提となっていると思います。

社会の中で常識となった問題ですが、こと親子であるとどうでしょう。

生まれ落ちた瞬間から子供は独立した存在ではありますが、養護しなければならない期間が長いだけに「子どもが育つ」ではなく育ててあげている、その育てている私たちの子ども=私たちのものという意識が強いまま残っているように思います。それは「思う」よりもっと自然な意識の中にある感覚なのだと思います。

そしてある時期から子供に自己責任という言葉をはめていく。

やるべきことをやったうえでしっかりと責任をとれる人間として育てたかどうか。

受けるべきことをしっかりと受け、自己責任をとれるだけの人間に育ててもらえたかどうか。

親が大人がやるべきことをやらず、一定年齢になったからそれはあなたの責任だということになれば親とは大人とは、その存在は子どもにとって何だったのでしょう。

戦争孤児はいなくなった

浮浪児もいなくなった

しかし戸籍もなく所在すら把握されていない子供が少なくとも500人以上いる

過保護・過干渉で育ち切れない大人こども

虐待・放任・親殺し・子殺し・自殺 後を絶たず。

社会に出られず人とのかかわりを持てずに家に引きこもっている若者が70万人

35歳未満の無労働者56万人 40歳未満のフリーター(パート・アルバイト)179万人

一見幸せな時代に見える大事に大事に育てたはずの子供たちの現状を親としてどう見ますか?

わざわざ見たくない数字を見せることは、現実を知ったうえで私たち大人がどうあるべきかを考えていかなければ、もっともっとこの数字が醜くなってしまう危険性があるのではないかと思うから。

この憲章にあるように、すべての子供が心身ともに健やかに育つために

今、最も考えなくてはならないことだと思います。



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