親子で食卓を囲み、楽しくおしゃべりをしながらごはんを食べる。こうした当たり前のことが、ここ数年で大きく変化しています。
親も子供も忙しくなって、家族がバラバラに食事をとる家庭が増えてきて、「食事は一人でするものだ」=「個食」という感覚が子ども達の中に広まりつつあります。
今の子ども達は対人関係能力に欠けるといわれますが、その原因のひとつには、食卓での家族団らんが失われてきたことが考えられると思います。
不登校や家庭内暴力などの問題がある家庭において、親御さんに対して「公園などで子どもがたむろしている姿を見つけた人は、すぐに全員を自宅に連れて帰ってほしい。そしてみんなに温かい手づくりのものを食べさせてやってください。」とお願いし実践していただいたそうです。子ども達はこたつに座って、どんぶりに入ったきつねうどんなどをすすりながら、おしゃべりをするのです。親は「寒かったでしょ」などと声をかけますが、決して叱りません。これを毎日続けたのです。すると半年後、子ども達は立ち直っていきました。
実はそれまで彼らの過程には、食卓での団らんはありませんでした。親がガミガミと指示や命令ばかりする家か、仕事で忙しいからと毎日食費だけを渡す放任タイプの家のどちらかだったのです。友達と一緒に家庭の温かい料理を食べながら、安心して話せる場ができたことで、子ども達の心はきっと癒されていったのでしょう。
食卓は、人と人とが関わり合う場です。子どもの心の発達に影響を与える、大切な場なのです。
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