なぜテレビは観ないほうがよいの?

最近、小児科に「2歳まではテレビを観せないようにしましょう」という張り紙があると思いますが、日本小児科学会で少なくとも2歳まではテレビを観せないように推奨されています。子ども番組なら良いかな、と思うかもしれませんが、内容に関わらずテレビは子どもの脳には刺激が強すぎます。


前頭前野の神経回路(シナプス)は、生まれた直後から急激に増え続け、5,6歳で脳の神経回路はピークに達します。そしてピークに達した後は、減り始めるのだそうです。人間の脳の神経回路というのは、最初はつくり過ぎる「過形成」という状態になり、それが5,6歳まで続きます。そして過形成のあとに、シナプスの「刈り込み」がはじまります。その刈り込みがほぼ完成するのが20歳です。シナプスは数を減らすことで、無駄のない、効率のいいものになり、脳を効率よく働かせることができるようになります。20歳以降は一番合理的な脳が残っていくのです。(広木克行「手をつなぐ子育て」)ところが、幼児期に強い刺激を浴び続けると、無駄なシナプスの刈り込みができなくなり、そのまま成長していってしまう。イメージとしては、早期教育やテレビなどの強い刺激によって栄養を取り過ぎ、無駄な脂肪が蓄積して、肥満になる身体と似ています。それゆえに、これを「肥満脳」というのだそうです。


テレビの機械音と人間の声の周波数は異なります。テレビを日常的に観ていると、刺激が強いために聞き取る力が弱くなり、1対1の時は話を聞くことができるが、みんなに向かって話しをしている時は、「自分は言われていない」といって理解できない、となる場合もあります。以前は、年長の子どもたちに長い絵の入っていないものを読んでいましたが、最近は頭の中で創造しながら聴く力が弱くなってきているように感じます。年長の本は、価値観や真実を問うものも多く取り入れて読んでいるが、ストーリーのみでなく、本の本当に伝えたい部分まで興味がいかなくなっていると思います。


江戸時代から、ひとつ、ふたつ、など「つ」がつくまでは神の子と言われているが、ここのつの9歳になると「9歳の壁」といわれ、思考力、言語力、コミュニケーション力が飛躍的に伸びます。4年生になるころに発達の質が変わってきますが、そのころを見据えてさくら・さくらんぼ保育の子は育っていきます。


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